5月12日 MESNIL Reaulme(レジョナルカテゴリー)
日本では木島平の第2ステージ。僕はレースウィーク最後のレースに臨んだ。コースは13キロ6周と2キロ強を13周する変則周
回のコースだ。
まず13キロの周回では高速の下りのあとに長い登り(斜度はそれなりにあるけどアウター)があり、ここに山岳ポイントが懸かっ
ている。その後、小さな町を抜けてまた下り、今度はやや短かくてもっとパワーで行ける登りが待っている。その後はまた小さな町を
抜けてスタートゴール地点へ戻るという構成だった。
2キロの周回のほうは、ホームストレートと裏手の道を行ったり来たりと単純。
まあまずは13キロの周回が肝心だ。
この日は赤いジャージのチーム(スポンサーロゴがいっぱいでどれがチーム名だかよく分からない)が沢山いて、このチームの選手
を含む逃げが行くと、あとはブロックされるだろう、と森さんと予想していた。
1、2周目はアタックが頻発するものの、各選手が元気で(賞金も懸かっていることだし)、行っては潰されまくる状態だった。長
い登りも集団のパワーで一気に上っている感が強い。しかし、レジョナルはふとしたことでアタックが決まり、集団が牽制してしま
うのがパターンなので、僕もまとまった逃げにはさっさと乗っておいた。昨日と連ちゃんで序盤は足が重たかったが、まあなんとかな
りそうだ。
3周目あたりだったか、ぱらっと3人の選手が下りの前の平地で抜け出した。この頃、集団はアタックが決まらないので緊張が緩み
かけていた。そこへ、例の赤ジャージチームの一人が勢いよくアタックしていく。僕は集団の先頭で流していたが、すかさず反応し
て後を追う。集団がみるみる離れるのを確認して、赤ジャージに『そのまま行け』と前を指差して合図を送る。合流して5人にな
り、一気にローテーションを開始。しかし、下りでぱらぱらと選手が追いついてくる。登りを終わって後ろを振り向くと、かなりの人
数が並んでいて、これは集団に追いつかれたか?と思ったが、どうやら追撃集団がくっついて15、6人の大所帯になってしまったよ
うだ。赤ジャージチームが二人、緑ジャージチームが三人、自転車ではおなじみのganがスポンサーについているオレンジジャージ
チームが三人と、やや多勢に無勢の様相。チームメイトがアタックすると、同じチームの選手は当然追わないので、他の誰かが行かな
くてはならない。エスケープグループの中でも、アタックをかける選手でその他のチームというと僕ともう一人二人というくらいでか
なり厳しい。仕方がないので、アタックにはすぐに反応して、前で後ろが来るのを待つ作戦にした。これなら後手にまわって自分で集
団を引っ張るより、他の選手にも足を使わせる事が出来る。
さあ、ここからだ。ここからさらに人数を絞っていかなくては。
長い登りで賞金狙いでアタックが掛かる。すると、登り切っても後ろが追いつかないのでそのままエスケープがホームストレートま
で続く場合が何度かあった。後ろで追うのに足を使わされるのが嫌だったのですべての登りのアタックに乗っていたがなかなか決まら
ない。おかげで、山岳とホームストレートの3位通過をもらったけど。
13キロ周回の最後の1周。やたら独走力のある選手(オレンジチーム)がアタック合戦の合間にするりと行ってしまった。小周回
を合わせるとまだ30キロはある。だけど、絶対に行かせてはいけない選手だった。その後の長い登りで、例のようにアタックが掛か
り、僕も追った。そろそろ足にきていて苦しくなった時だったが、いつもより坂の登り始めからアタック合戦が始まったので、これは
もう他の選手を完全に振り落とすアタックと判断し、必死に食らいついた。結局5人にまで絞られて小周回に突入。が、たった一人の
先頭に、すでに50秒の大差がついてしまっている。5人にはもう足が残っておらず、人数を活かしたハイスピードは作り出せない状
態だった。中でも僕の足はかなりきていた方で、僕より足がないのはもう一人だけだった。13周の小周回は厳しい道のりだった。賞
金がつくのだけど、ことごとく持って行かれた(くそー)。何しろスプリントできないほど足ががたがたなのだ。当然アタックにも反
応できないので、ぽろぽろと二人の先行を許し、残りの三人でラストラップ。僕より足が残ってない選手が一人いるから、スプリント
の相手はあとの一人だ。長いホームストレートに入るヘアピンカーブのあと、少し行ってから力を振り絞ってアタック。後ろを脇の下
から覗いているとじりじりとそいつが追いついてくる。蛇行して振り切ろうとしたが振り切れない。あと300メートルでぴったりつ
かれたので、ついに二人の一騎打ち状態。これが優勝争いだったらどんなに良かったか・・・。とりあえず4位でもゆずれん!
前をゆるゆると進む僕は右端から左に振って、左後ろにいた奴をフェンス際に追いやる。と、そいつは右に出直して一気にスパート
! 僕も同時にペダルを踏みこむが伸びがいまひとつ。ついに捲くられてしまった〜、が、ゴールラインはもう少し先。気合いで少し
ずつ伸びた僕が、もう一度差し返してゴール!
あー、つくづくこれが優勝争いだったらどんなに良かったか・・・。
まあ、こういうゴールスプリントは初めてだったので、楽しかった。積極的に逃げを作れたのもよかった。自発的にライバルを振り
落としたし、冷静に状況から判断する事が出来た。たったひとつ、優勝した選手の独走を許してしまった事が悔やまれる。彼の足は、
レース中に一度一緒に逃げて知っていたのに。
でも、チャンスを掴めるようになってきたかな・・・。
とりあえず今までの最高順位を上げた。賞金は8ユーロ。苦労のわりにちょぴっと。
次回レースは17日。ちょっと休めるな・・・火曜日はパリ観光だし。それでは今日はこれにて。